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大阪地方裁判所 平成5年(ワ)1459号・平5年(ワ)8572号 判決

甲事件原告(乙事件被告)

岡本運輸倉庫株式会社

甲事件被告(乙事件原告)

竹平安利

ほか一名

乙事件原告

迫政

主文

一  甲事件被告、乙事件原告竹平安利、同竹平工業株式会社は連帯して、甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社に対し、金一一六万二〇〇円及び内金一〇六万二〇〇円につき平成四年七月二三日から、内金一〇万円につき平成五年二月二七日からいずれも支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社は、甲事件被告、乙事件原告竹平工業株式会社に対し金九万六四六四円、乙事件原告迫政に対し金一万円及びこれらに対する平成四年七月二三日からいずれも支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

三  甲事件被告、乙事件原告竹平安利の甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社に対する請求、甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社の甲事件被告、乙事件原告竹平安利、同竹平工業株式会社に対するその余の請求、甲事件被告、乙事件原告竹平工業株式会社、乙事件原告迫政の甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社に対するその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用のうち、甲事件については、これを八分し、その五を甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社の負担とし、その余を甲事件被告、乙事件原告竹平安利、同竹平工業株式会社の負担とし、乙事件については、甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社と甲事件被告、乙事件原告竹平工業株式会社との間に生じたものはこれを二〇分し、その一九を甲事件被告、乙事件原告竹平工業株式会社の負担とし、その余を甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社の負担とし、甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社と乙事件原告迫政との間に生じたものはこれを三二分し、その三一を乙事件原告迫政の負担とし、その余を甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社の負担とし、甲事件原告、乙事件被告岡本運輸倉庫株式会社と甲事件被告、乙事件原告竹平安利との間に生じたものは甲事件被告、乙事件原告竹平安利の負担とする。

五  この判決は第一、二項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  甲事件

甲事件被告(乙事件原告)竹平安利(以下、単に「被告竹平」という。)、甲事件被告(乙事件原告)竹平工業株式会社(以下、単に「被告会社」という。)は連帯して、甲事件原告(乙事件被告)(以下、単に「原告」という。)に対し、金二八一万六一〇〇円及び内金二五六万六一〇〇円につき平成四年七月二三日から、内金二五万円につき平成五年二月二七日からいずれも支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  乙事件

原告は、被告会社に対し金一九四万八八六九円、被告竹平に対し金六万四〇〇〇円、乙事件原告迫(以下、単に「原告迫」という。)に対し三二万円及びこれらに対する平成四年七月二三日からいずれも支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え(被告会社につき内金請求)。

第二事案の概要

本件は、原告が所有し、立花満広が運転する普通貨物自動車(以下「原告車」という。)と、被告会社の所有で、被告竹平が運転し、原告迫が同乗する普通貨物自動車(以下「被告車」という。)とが衝突した事故について、原告が被告竹平に対して民法七〇九条に基づき、被告会社に対して民法七一五条に基づきそれぞれ損害賠償(物損)を請求し(甲事件)、被告会社、被告竹平、原告迫(以下「被告ら」ともいう。)がそれぞれ原告に対して民法七一五条に基づき損害賠償(被告会社につき物損、被告竹平、原告迫につき人損)を請求した(乙事件)ものである。

一  争いのない事実等

1  交通事故の発生

日時 平成四年七月二三日午前六時三五分ころ

場所 大阪市都島区東野田町三丁目一一番先路上

態様 立花が運転する原告車と、被告竹平が運転する被告車とが衝突した。

2  原告車、被告車の所有関係

本件事故当時、原告は原告車を所有し、被告会社は被告車を所有していた(以上につき、甲乙事件当事者間に争いがない。)。

3  原告、被告会社の業務性

本件事故当時、立花は、原告の業務執行のため原告車を運転しており、被告竹平は、被告会社の業務執行のため被告車を運転していた(証人立花満広、被告竹平安利本人)。

二  争点

1  立花、被告竹平の民法七〇九条に関する過失の有無(原告は、原告車の進行する道路の対向車線に停止していた被告車が、転回禁止道路であるにもかかわらず、安全確認をしないまま急発進して転回し、原告車の進路前方に進出したため本件事故が発生したもので、被告竹平の全面的過失による事故であり、立花に過失はないと主張する。これに対して、被告らは、本件事故は立花が前方を注視せず、制限速度を大幅に超える速度で原告車を運転していたために被告車に衝突したもので、原告車が被告車に追突したのと同様の事故であり、立花に重大な過失かあると主張する。)

2  甲事件の損害(車両損害及び諸費用、レツカー代、解体費用、代車費用、休車損害、弁護士費用)(原告は、原告車の車両価格が三〇万円であることを前提とする車両損害を主張するとともに、原告車の一日当たりの売上高から経費を控除した四万七五三五円に稼働可能日数四〇日を乗じた休車損害を主張する。これに対して、被告らは、原告車が減価償却ずみの車両で時価が零であると主張するとともに、休車損害については、原告に余剰の代車があることから現実には損害が発生していないうえ、人件費と減価償却費等を経費としていない休車損害の計算は不当であり、また、原告主張の休車期間は、原告の都合で新車の発注が遅れたり、特殊な加工によつて納車が遅れたものであつて、一〇日間ないし二週間が相当な休車期間であると主張する。)

3  乙事件の損害(被告会社につき、修理費、車両購入に伴う諸費用、レツカー代、積荷運搬損害、休車損害。被告竹平、原告迫につき、休業損害、慰謝料。)(被告会社は、被告車の修理費として九四万九一六六円を主張し、また、休車損害として一日当たり二万円の四五日分を主張する。これに対して、原告は、被告車がいわゆる経済的全損であつて、修理費は事故当時の被告車の時価を越えるものではないと主張するとともに、休車損害については、一日当たりの単価、休車期間の立証がないと主張する。また、原告は、人損については立証がないと主張する。)

4  過失相殺(被告らは、前記1の事情からすると、本件事故発生について、立花に八〇パーセント、被告竹平に二〇パーセントの過失があると主張し、原告は、右主張を争う。また、原告は、予備的に過失相殺を主張する。)

第三争点に対する判断

一  証拠(甲一、八、検甲一ないし八、乙二、乙七、八、検乙一、二、証人立花満広、同山本好夫、被告竹平安利本人)によれば、以下の事実が認められ、被告竹平安利本人尋問の結果のうち右認定に反する部分、右認定に反する乙第一号証はいずれも採用できない。

本件事故現場は、東西に伸びる片側二車線(両側四車線)のゼブラゾーン状に表示されたセンターラインのある道路の西行車線上である。本件事故現場付近は、転回禁止場所で、制限速度は時速四〇キロメートルであり、進路前方の見通しの良い場所である。本件事故当時、立花は、原告車(最大積載量四トン)に四トン程度の荷物を積載し、本件道路西行車線の北側車線(センターライン寄り車線)を時速四〇キロメートル程度の速度で進行して本件事故現場の手前に差しかかつた。その際、原告車の進路右前方(東行車線の道路端側車線上)に東向きに停止していた被告車(乗車定員六名で後部荷台に一トンの荷物を積載できる車両)が、方向指示器を点滅させることなく、発進して転回し、時速一〇ないし一五キロメートルの速度でセンターラインを越えて原告車の進路上に進出してきた。そして、被告車が、転回途中に、西行車線の北側車線上で、ほぼ南向きの状態になつていた際、被告車の荷台左側面に原告車の前部が衝突した。右衝突後、原告車は、約五メートル進行して停止した。また、被告車は、右衝突の結果、車体後部を南側(被告車から見て右側)に振つて東向きになり、車体の左側面を原告車の車体左側面に接するようにして停止した(なお、被告竹平安利本人尋問の結果中には、被告車がセンターライン手前の東行車線上で一旦停止し、西行車線上を接近してくる原告車との間に一〇〇メートル位の距離があると判断して、方向指示器を点滅させて西行車線上へ転回し始めたところ、西行車線上の道路端に駐車していた軽四輪自動車と接触しそうになつたので、一旦停止した直後ころに原告車に衝突されたとの供述部分が存在するが、本件事故当時、被告車が転回しようとしていた先に軽四輪自動車が停止していたことを認めるに足りる証拠はなく、また、本件事故当時、原告の従業員で、原告車の後方を別の貨物自動車を運転して走行中に本件事故を目撃した証人山本好夫の証言内容は、具体的であるうえ、右証言当時、同証人は原告を退職していたことから、同証人の証言の信用性は高いと解されることをも併せ考慮すれば、右証言と矛盾する被告竹平の右供述部分は採用できないというべきである。さらに、被告らは、本件事故当時、原告車が制限速度を大幅に超える速度で進行していたと主張するが、本件事故当時、被告車を運転していた被告竹平自身は、衝突直前の原告車の速度を現認しておらず、被告車の助手席の同乗者が原告車の速度について、時速七、八〇キロメートルで来ている、と言つていたのを聞いたとの伝聞に基づくものであるうえ、最大積載量四トンの被告車が四トン程度の荷物を積載し、時速七、八〇キロメートルの速度で最大積載量一トンの原告車に衝突したとすれば、被告車とその運転手、同乗者に対して、本件事故よりもはるかに重大な損害を与えていると解されるので、原告車の右速度に関する被告らの主張は採用できない。)。

二  立花、被告竹平の民法七〇九条に関する過失の有無について

前記一の認定事実によれば、本件事故は、被告竹平が、本件事故現場付近が転回禁止場所であるにもかかわらず、対向車の有無、動静に対する注意が不十分なままで、方向指示器を点滅させることなく転回しようとして対向車線に進出したため、対向直進してきた原告車と衝突したもので、本件事故発生について、被告竹平に過失があることは明らかである。また、立花も、原告車を運転する際には、対向車の有無、動静に十分注意して進行すべきであつたにもかかわらず、対向車である被告車に対する注意が不十分であつたため、対向車線から転回してきた被告車の発見が遅れて被告車と衝突したものであるから、本件事故発生について、立花にも過失があるといわなければならない。

三  甲事件の損害

1  車両損害及び諸費用 四一万七七〇〇円(請求五二万四四〇〇円)

原告は、昭和五九年九月に原告車を四一一万七三〇〇円(車両本体価格三三四万円、加装価格七七万七三〇〇円)で大阪三菱ふそう自動車販売株式会社(以下「三菱ふそう」という。)から新車購入した。原告は、右購入後から本件事故当時まで、原告車を運送業務に使用していた(甲二、六、証人立花満広、同青山貞夫)。右に認定したところによれば、原告車は、新車登録されてから本件事故当時までに八年間近くが経過しているうえ、運送業務に使用されていたことから、走行キロ数も相当長距離になつていると解され、右事情に、右購入価格を併せ考慮すれば、本件事故当時の原告車の時価は、二〇万円であつたと解すべきである。そうすると、原告主張の車両損害は、二〇万円の限度で理由がある(なお、被告らは、原告車が減価償却ずみで時価が零であると主張するが、右に認定したとおり、本件事故当時も運送業務に使用されていたのであるから、右主張は採用できない。)。

さらに、原告は、原告車を廃車し、本件事故後の平成四年七月三〇日に最大積載量四トンの貨物自動車を三菱ふそうから車両価格三四〇万円(原告が特別注文した加装も含む。)で新車購入した。右新車購入に関し、原告は、消費税として少なくとも九万円、自動車取得税として一〇万五三〇〇円、自動車重量税として二万二四〇〇円(合計二一万七七〇〇円)の支払を余儀なくされた(甲九、証人青山貞夫)。そして、前記一で認定した本件事故態様に、原告車の前記時価額からすると、本件事故によつて生じた原告車の損傷に関する修理費が原告車の前記時価額を越えることは明らかであると解されるので、原告は、本件事故後に原告車を廃車し、同程度の貨物自動車を購入する必要性があつたというべきであり、右新車購入に伴つて負担すべき消費税、自動車取得税、自動車重量税も本件事故と相当因果関係のある損害であると解される。

そうすると、原告主張の車両損害及び諸費用は、四一万七七〇〇円(車両損害二〇万円と諸費用二一万七七〇〇円との合計額)の限度で理由がある。

2  レツカー代 五万一五〇〇円(請求同額)

原告車は、本件事故のため、走行不能で牽引が必要となり、本件事故現場から原告の倉庫まで牽引されて戻つた。右牽引のためのレツカー代として五万一五〇〇円を要した(甲三、証人立花満広、同青山貞美)。

そうすると、レツカー代に関する原告の請求は理由がある。

3  解体費用 四万二〇〇〇円(請求同額)

原告は、本件事故後、原告車を解体する費用として四万二〇〇〇円を要した(甲四、証人青山貞夫)。

そうすると、解体費用に関する原告の請求は理由がある。

4  代車費用 四万六八〇〇円(請求同額)

本件事故当時、原告車に積載されていた荷物は、本件事故当日、二トン車二台に積み替えて運送し、これに伴う代車費用として一台当たり二万三四〇〇円(二台分で四万六八〇〇円)を要した(甲五、証人立花満広、同青山貞夫)。

そうすると、代車費用に関する原告の請求は理由がある。

5  休車損害 六二万円(請求一九〇万一四〇〇円)

(一) 原告車は、本件事故前の平成四年六月一日から同年七月二二日までの間(日曜日を除く稼働実日数四五日)に二二八万六四〇〇円の運賃収入を得ており、右期間中の高速道路料金として二万七四五〇円を支払つた。原告では、運転手の人数とトラツクの台数は同じであり、運転手とトラツクの組み合わせが固定されている。また、運転手の給料は、基本給と、歩合給等の付加給とで構成されている。原告では、本件のように、事故でトラツクが運行できなくなつた場合、運転手に基本給を支払つている関係で遊ばせておくことはできないことから、その運転手を別のトラツクの助手として乗務させたり、原告の倉庫業務に従事させたりしている(甲六、七、証人青山貞夫)。

右事実によれば、原告は、原告車の運行によつて、稼働一日当たり二万円の営業収入を得ていたと解されるが、右金額を越える営業収入を得ていたことを認めるに足りる証拠はない(なお、原告は、本件事故前の原告車の運賃収入から、経費として燃料費、高速道路料金、オイル及びパンク修理費を控除して、稼働一日当たり四万七五三五円の営業収入を得ていたと主張する。しかし、運賃収入は、その性質上、季節的変動に左右されやすいものであると解されるうえ、経費のうちの燃料費、オイル及びパンク修理費については、右各支払を具体的に認定するに足りる領収証等の証拠が提出されておらず、しかも、運転手に対する給与の中で、基本給部分は、休車期間中も支払を免れないものであるから、損益相殺の観点からみて運賃収入から控除するのは相当でないが、歩合給等の付加給部分は、休車期間中に支払う必要がないものが含まれていると解されるので、この部分を運賃収入から控除して営業収入を算定すべきであるにもかかわらず、これを控除していない点からすると、原告主張の営業収入額は採用できない。さらに、被告らは、原告車の減価償却費を控除して営業収入を算定すべきであると主張するが、本来、減価償却費は休車期間中も支出を免れないものであるうえ、被告らは、本件事故当時、原告車が減価償却ずみであると主張しているのであるから、減価償却費を控除すべきであるとの被告らの右主張は採用できない。)。

(二) 原告は、前記三1(車両損害及び諸費用)で認定したとおり、平成四年七月三〇日に新車を三菱ふそうに発注した。右発注に際して、原告は、荷台の床を木製にし、雨よけ用の幌を取り付けるための装具を荷台に取り付ける特別注文をした。三菱ふそうは、同年九月一二日に右新車を原告に納車した(甲九、一〇、証人青山貞夫)。

右認定事実に、前記三1(車両損害及び諸費用)で認定した原告車の車種、使用目的を併せ考慮すれば、本件事故の翌日である平成四年七月二四日から同年九月二日までの四一日間(日曜日と盆休み四日間を控除した稼働実日数三一日)が相当な休車期間であると解される(本件事故日から新車発注日である平成四年七月三〇日までの期間は、新車発注のための考慮期間として相当であり、原告車の車種、使用目的、右発注における特別注文の内容に、同年八月一二日から同月一五日までの四日間の盆休み期間を併せ考慮すれば、同年九月二日までの限度で休車期間の相当性を肯定すべきであり、原告主張の休車期間のうち、右判示の期間を越える部分は採用できず、また、被告らの休車期間に関する主張は採用できない。)

(三) そうすると、本件事故と相当因果関係のある原告の休車損害は、六二万円(一日当たり二万円に稼働実日数三一日間を適用したもの)となる。

6  弁護士費用 一〇万円(請求二五万円)

原告の請求額、前記認容額、その他本件訴訟に現れた一切の事情を考慮すると、弁護士費用としては、一〇万円が相当である。

四  乙事件の損害

1  被告会社

(一) 修理費 六五万五〇〇〇円(主張九四万九一六六円)

被告車は、初度登録が平成元年一一月であり、本件事故当時までの走行距離は二万キロメートル余りの車両である。オートガイド自動車価格月報(平成四年七月一日から同年八月三一日版、いわゆるレツドブツク)によれば、被告車と類似する車両の中古車小売価格は七〇万円と記載されている。また、有限会社NIA鑑定事務所は、右レツドブツクの記載を参考にするとともに、被告車の特殊性を加味し、自動車検査証の有効期限が平成四年一一月二〇日であることをも併せて考慮したうえで、被告車の時価を六五万五〇〇〇円と評価している。さらに、被告車が本件事故によつて受けた損傷を修理するには、九四万九一六六円(消費税を含む。)が必要である(甲一五、乙二、検乙二、被告会社代表者本人)。

右に認定した被告車の初度登録からの経過期間、本件事故当時までの走行距離数、被告車と類似する自動車の時価、自動車検査証の有効期間を考慮すると、本件事故当時における被告車の時価は、六五万五〇〇〇円であつたと解される。そうすると、本件事故と相当因果関係のある被告車の修理費は、六五万五〇〇〇円の限度で理由がある。

(二) 車両購入に伴う諸費用 一二万九六四七円(主張同額)

被告会社は、本件事故の翌日か、二日後に、被告車と同型車を株式会社アンフイニ大阪に車両価格一五七万二五四〇円で発注した。右購入に関し、原告は、消費税として四万二四七円、自動車取得税として六万四二〇〇円、自動車重量税として二万五二〇〇円(合計一二万九六四七円)の支払を余儀なくされた(甲一一の1、2、乙三、被告会社代表者本人)。

右事実に、前記四1(一)(修理費)で判示したとおり、被告車の修理費が前記時価額を越えるので、被告会社が被告車と同型車を購入したことは相当であつたと解され、右購入に伴つて負担すべき消費税、自動車取得税、自動車重量税も本件事故と相当因果関係のある損害であると解される。

そうすると、被告会社の車両購入に伴う諸費用に関する主張は理由がある。

(三) レツカー代(主張三万円)

被告車のレツカー代を認めるに足りる証拠がない(乙四、被告会社代表者本人によつても認定できない。)ので、右レツカー代に関する主張は理由がない。

(四) 積荷運搬損害(主張四万三二七一円)

被告会社主張の積荷運搬損害を認めるに足りる証拠がない(乙五に記載された各物品の日付が、乙一一の2の納車時期以後であることから、納車された車両で右各物品を運搬することが可能であると解され、また、乙六のピンク糸は、被告会社代表者本人によると、他に運搬を委託しなければならないほど数量、重量物ではないことから、いずれも積荷運搬損害を認定することはできない。)ので、積荷損害に関する主張は理由がない。

(五) 休車損害 一八万円(主張九〇万円)

被告会社は、左官業を営み、本件事故当時、被告車は、職人や機械、材料を工事現場へ運搬することに使用されていた。公共交通機関や他の運送業者に右運搬を依頼すると、一日当たり少なくとも一万円の費用を要する。被告会社は、本件事故の翌日か、二日後に被告車と同型車を株式会社アンフイニ大阪に発注し、遅くとも平成四年八月一七日には被告会社に納車された(甲一一の1、2、被告会社代表者本人、弁護の全趣旨。)。

そうすると、本件事故当日から平成四年八月一七日までの期間中の休車実日数は、一八日間(右期間の全日数二六日から日曜日四日間、同年八月一二日から同月一五日までの盆休み四日間をそれぞれ控除したもの)と解すべきであるから、本件事故と相当因果関係のある休車損害は、一八万円(一日当たり一万円の一八日分)となる。

2  被告竹平

(一) 休業損害(請求三万円)

被告竹平が、本件事故によつて負傷したことを認めるに足りる証拠がないので、休業損害に関する請求は理由がない。

(二) 慰謝料(請求五万円)

前記四2(一)(休業損害)で判示したところによれば、慰謝料に関する請求は理由がない。

3  原告迫

(一) 休業損害(請求一二万円)

原告迫は、本件事故の翌日である平成四年七月二四日に松井クリニツクで受診した。右受診時に、原告迫は、左胸部痛、寝返り痛、深呼吸時の疼痛を訴えており、右病院の医師は、レントゲン検査の結果では、骨折は認められないものの、臨床症状から亀裂骨折の疑いがあるとして、左肋骨不全骨折と診断した。その後、原告迫は、松井クリニツクで治療を受けなかつた(乙七、八)。

右事実によれば、原告迫が本件事故により受傷したことは認められるものの、原告迫の休業期間、休業の必要性を具体的に認定するに足りる証拠がない(被告会社代表者本人尋問の結果中には、原告迫が本件事故の翌日から四、五日連続して休んだ旨の供述部分があるが、右休業期間に関する供述自体が不明確であるうえ、休業期間、休業の必要性について原告迫自身が説明、供述した証拠がないことをも併せ考慮すれば、休業損害を認定することはできないというべきである。)から、休業損害に関する請求は理由がない。

(二) 慰謝料 一万円(請求二〇万円)

前記四3(一)(休業損害)で認定した原告迫の症状、治療経過からすると、慰謝料としては、一万円が相当である。

五  過失相殺

前記二で判示した立花、被告竹平の各過失内容からすると、本件事故発生について、被告立花には一〇パーセントの、被告竹平には九〇パーセントのそれぞれ過失があると解される。

そうすると、甲事件の損害につき一一七万八〇〇〇円(前記三1ないし5の損害合計額)に右過失割合を適用した過失相殺後の金額は、一〇六万二〇〇円となり、乙事件の被告会社の損害につき九六万四六四七円(前記四1(一)、(二)、(五)の損害合計額)に右過失割合を適用した過失相殺後の金額は、九万六四六四円(円未満切り捨て)となる(原告迫については、同乗者であるから、過失相殺するのは相当でない。)。

六  以上によれば、甲事件に関する原告の被告竹平、被告会社に対する請求は、一一六万二〇〇円(前記過失相殺後の金額一〇六万二〇〇円に前記三6の弁護士費用一〇万円を加えたもの)と内一〇六万二〇〇円(弁護士費用を控除したもの)につき本件交通事故発生の日である平成四年七月二三日から、一〇万円(弁護士費用)につき右被告らに対する本件訴状送達の翌日である平成五年二月二七日からいずれも支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり、また、乙事件のうち、被告会社の原告に対する請求は、九万六四六四円(前記過失相殺後の金額)と平成四年七月二三日から支払ずみまで右遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、原告迫の原告に対する請求は一万円(前記四3(二)の金額)と右同日から支払ずみまで右遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、被告竹平の原告に対する請求は理由がない。

(裁判官 安原清蔵)

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